
「持ち家と賃貸、どっちが得なんだろう?」
社会人なら、一度は考えたことがあると思う。
この問いには“正解”がない。
なのにSNSを開けば、
- 「家を買わないのはバカだ」
- 「賃貸派は情弱だ」
- 「持ち家なんて金の無駄だ」
そんな極論が飛び交っている。
まるで、人生の勝ち負けが住まいで決まるように。
でも、よく考えてみてほしい。
家って“住むためのもの”じゃなかったっけ?
僕の友人は賃貸で暮らしていた頃、
「家賃を捨ててる気がする」と落ち込んでいた。
一方で後輩は、
「マイホームのローンで自由を失った」とこぼしていた。
どちらも間違っていない。
少しだけ“思い込み”に囚われていただけだ。
僕個人の考えを伝えておく。
持ち家を一括で買えないなら買うべきではない。
でも問題は“どっちが得か”ではなく、
“自分がどんな生き方をしたいか”にある。
「持ち家」にも「賃貸」にも、
どちらもメリット・デメリットがある。
大事なのは他人の意見じゃなく、
“自分の感情と理性”を整理して「自分の軸」を持つことだ。
この記事では「生き方の哲学」として、
“持ち家VS賃貸”を掘り下げていく。
この選択が人生のキャッシュフローを、
1000万円以上左右する重要な哲学である。
損得よりも、納得を大切に。
「正しさ」よりも、「生きやすさ」の選択を。
お金の話?幸せの話?
その答えを、一緒に見つけていこう。
目次

第1章:持ち家?賃貸?社会人の「住居選択」の苦悩
社会人になると、
ふとした瞬間に現実が顔を出す。
- 「いつまで賃貸に住むべきなのか?」
- 「そろそろ持ち家を買うべきかな?」
社会の当たり前が頭をよぎるたび、
心のどこかがザワつく。
その“ざわざわ”こそが、
現代人が抱える最も身近な哲学の入口である。

◾️なぜ社会人は住居選択で思考停止する?
仕事に追われ、気づけば週末も疲労回復で終わる。
「とりあえず目の前のタスクをこなす」だけで、
心も体も精一杯。
そんな中で将来の不安まで襲ってくる。
「老後も賃貸に住み続けられるのか?」
持ち家の購入は多くの人にとって、
人生で最も高い買い物である。
だからこそ、慎重に考えならなければいけない。
- 「買えば一生の安心?」
- 「ローンの利息はもったいない?」
- 「老後に賃貸は借りられる?」
ネットの海を回遊しても、
"絶対的な答え"はどこにも見つからない。

多くの人がこの時点で“思考停止”する。
「持ち家VS賃貸」という人生を左右する選択は、考えない方が楽だからだ。
未来を想像するだけで、心が疲れる。
「住居選択は周囲に合わせればいいか」
そう考えるのも無理はない。
社会人は今日も不安を避けるために、
“考えずに周囲に決めさせる”という選択をするのだ。

◾️不動産の世界は知識の弱肉強食
「不動産業界には“悪い人”か“すごく悪い人”しかいない」
言い過ぎだと思うかもしれない。
だけど不動産業で稼ごうとする以上は、
"悪い人にならざるを得ない"のが現実である。
“知っている人”が“知らない人”から利益を取る。
知識の格差がそのまま「お金の格差」に直結する弱肉強食の世界なのだ。
「餅は餅屋」とは言うが、
営業の世界では餅を買いに行った情報弱者は逆に餅を食べられる。
彼らの仕事は“契約を取ること”であって、
“あなたを幸せにすること”ではないのだ。

◾️友人の体験からみる不動産業者
僕の友人は「5万円の賃貸」を探そうと、
とある賃貸仲介業者に相談した。
すると担当者は言った。
「理想の生活をするなら、私の経験上探している家賃の1.5倍の場所に住んだ方がいいです」
なぜか「月7.5万円の賃貸」を探すことに。
それでも「プロの言葉」だからと信じてしまった。

内見に行くと担当者はさらに言う。
- 「人気物件なので、今すぐ契約しないと埋まります」
- 「今決めるなら、家賃7万円で交渉します」
結果、彼は予算オーバーの物件を即契約。
一人暮らしなのに2DK。
予定以上の敷金・礼金・家賃の支払いに苦しむ日々...。
営業テクニックを知っていれば防げたはず。
でもプロを信用してしまうのは仕方がない。

◾️「知らない」は操り人形になるリスク
人は「理性」よりも「感情」で動く生き物だ。
- 「老後賃貸を借りられるか不安」
- 「マイホームに憧れがある」
- 「持ち家は近所付き合いが不安」
どれも人間らしい自然な感情だ。
でもその"感情"が"理性の声"をかき消してしまう。
SNSには「今が買い時!」という情報が溢れ、
不動産広告は「今しかない!」と煽る。

情報が多すぎて、何が正しいのか分からない。
「よく分からないから、みんなに合わせよう」
そうやって自分に合わない選択をしてしまう。
感情が優位に立った結果、理性が置き去りになる。
“知っている者だけが得をする社会構造"は、
こうやってできあがり、更に格差を広げていく。
知らないことが幸せなこともある。
でも“知らないまま決める”ことは、
誰かの操り人形にされる大きなリスクを抱えてしまう。

◾️「いつか家を買うべき」という呪い
「いつかは持ち家を買うべきだ」
本当に自分で考えて決めたなら問題ない。
だが多くの人は社会人の常識として、
令和の今でも“マイホーム信仰”を信じ込まされている。
- 転勤が多い仕事なのに持ち家を買う
- 「いつか結婚するかも」と持ち家を買う
- 「資産になるから」と思い込まされ持ち家を買う
“人生の形は多様化している"にもかかわらず、
「家を買って一人前」という価値観だけが取り残されている。
その“呪いの言葉”に縛られて、
住宅ローンで破産する人が増えている。
“生き方に合わせて住居を選ぶ"というのが本来の形。
なのに多くの社会人が、
“人生を家に合わせる選択"をさせられる。

◾️まとめ:住居選択は損得ではなく納得
社会人の住居選びの問題は、
単純に「情報が多すぎる」だけではない。
- 分からない事への思考停止
- 未来への不安
- プロへの過信
- 感情と理性の衝突
様々なものが絡み合って、判断を鈍らせる。
不安は、考えるほど深くなる。
だからこそ、少し立ち止まって、冷静に見つめてほしい。
“損得”ではなく“納得”で選ぶこと。
それが住居選択の哲学だ。
次章では「持ち家」という、
“安心”という名の“鎖”について掘り下げていく。

第2章:持ち家のメリットとデメリットを哲学する
- 「持ち家を買えば一生安心」
- 「賃貸の家賃はお金を捨てること」
そう思って住宅ローンを組む人は多い。
だがその“安心”は、
「自由」を代償にして得るものかもしれない。
本章では持ち家がもたらすメリット・デメリットを、哲学の視点でほどいていこう。
「“安心”と“自由”」
あなたはどちらに価値を感じるだろう?

◾️持ち家のメリット紹介
持ち家には“安心”がある。
「自分の城」という所有感は、
自己肯定感を高め社会人としての自信を生む。
賃貸のように退去を迫られることもなく、
自分の空間を自由にカスタムできる「自己表現の場」だ。
- 住宅ローン控除などの税制優遇
- 家賃とは違いローンは「資産形成」につながる
そんな経済的メリットを感じる人もいる。
“マイホーム”は単なる住居ではなく、
「積立て投資」だと考えられなくもない。

哲学者イマヌエル・カントも、
生涯をほぼ故郷ケーニヒスベルクで過ごした。
彼は一度も海外に出なかったが、
“定住の中”で人類史に残る思索を積み上げた。
「根を下ろし同じ場所に留まる」というのは、
創造性や精神の安定を育む土壌でもある。
持ち家は、そんな“動かない美徳”を持つ。
それは人生の“軸”を持つということにつながる。

◾️友人の持ち家で得した話
僕の友人で、結婚を期に3500万円の家を購入した人がいた。
住居として使用していたが、
家を購入して5年後に離婚することになった。
持ち家を売却するために査定をすると、
査定額は約5000万円にまで上がっていた。
売却額は査定額より下がる事が多いが、
その友人は査定額通りで買い手が見つかり売却。
借り入れていた住宅ローンを完済し、
約2000万円が手元に残る結果になった。
タイミングが良ければ持ち家はメリットをもたらすという好例だろう。
(確定申告を忘れて追徴課税を支払ったのは内緒)

◾️持ち家を買うリスク:35年ローンの鎖
“安心”の裏には必ず“代償”がある。
持ち家を買う場合には、
一般的に35年の住宅ローンを組む。
住宅ローンとは言い換えれば、
「銀行と未来の自分への借金」である。
仕事を失えば借金は積み重なり、
変動金利に設定すればリスクの予定が立たない。
- 「やりたい事を見つけて転職する」
- 「価値観がズレて離婚する」
そんな"人生の変化”への対応が難しくなる。
離婚率が上がり、転職・副業が当たり前になった。
現代は変化への柔軟な対応も必要になる。
だが住宅ローンという経済の呪いは、
社会人の柔軟さ縛る見えない鎖となる。

◾️後輩から見る住宅ローンのリスク
僕の後輩の話をしよう。
彼は19歳で結婚して賃貸に暮らしながら、
家計を切り詰め夫婦で協力し22歳で500万円を貯めた。
そして500万円を頭金に、
4000万円で念願のマイホームを購入した。
2人の子ども恵まれ順風満帆に見えたが、
25歳になったとき、彼の奥さんが言った。
「若い時に遊べなかったから、今から遊びたい」
そこから夫婦仲が急速に冷え込み離婚の話も出た。

家の査定価格は約2400万円。
ローン残債は約3500万円。
家を売ってもローンが残る“オーバーローン状態"。
- 後輩:ローン残債(半額)・養育費・自分の生活費。
- 奥さん:ローン残債(半額)・子供2人と自分の生活費。
離婚して家を売却してもお互いやっていけない。
現在では家庭内別居という仮面夫婦を演じている。
“幸せの象徴”である持ち家が、
“人生を縛る鎖”になってしまったデメリットの象徴だ。

◾️持ち家は「資産」か「負債」か?
「持ち家は資産になる」
この言葉を信じてローンを組む人は多い。
この問題は、会計学的な視点から切り込む必要がある。
「資産」とは"将来的にキャッシュ(現金)を生み出すもの"と定義される。
持ち家は基本的に住むためのものであり、
住み続ける限りはキャッシュを生み出さない。
3000万円で買った家の35年後の査定額は、
経年劣化で建物の価値はゼロに近い事が多い。
(よほどタイミングが良い場合はこの限りではない)
残るのは土地の価格だけだ。

固定資産税・修繕費・火災保険・ローンの金利。
様々な「キャッシュを吸うコスト」も見逃せない。
住宅ローン金利の例を挙げてみよう。
前提:借入金額4000万円・固定金利1.9%・借入期間35年・元金均等返済
支払額:約5333万円
「著書:金持ち父さん 貧乏父さん」
で知られる投資家ロバート・キヨサキ氏曰く。
「自宅は資産ではなく負債である」
人は自分の選択を正当化する為に、
「家=資産」と信じたくなる。
心理学ではこれを、
「認知的不協和の解消」と呼ぶ。
だが知っておいてほしい。
「家賃を捨てるよりマシ」という選択には、
「ローンの利息と価値の下落分を捨てる」という、 より大きな損失が隠されている可能性があるのだ。

◾️執着は人生の選択肢を狭める
家を持ち、家具を買い、車を所有する。
人は「モノ」に囲まれると、安心感を得る。
しかし同時に"それらを手放せない不安”を生む。
持ち家とは、まさにその象徴だ。
哲学者ジャン=ジャック・ルソーは、
『人間不平等起源論』で語った。
「最初に土地を囲い『これは私のものだ』と言った人間が社会を狂わせた」
所有とは、安心の裏に“執着”を生む。
そして執着は、人生の選択肢を狭めていく。

◾️まとめ:家を買うとは生き方の表明
持ち家は、住居の安定と心理的な自信を与えてくれる。
定住の価値を愛したカントのような、
揺るぎない生活基盤を望む人には、最高のメリットだ。
しかし現代は多様で変化の激しい社会だ。
想定外(離婚、転職、病気)が起きたとき、
身動きが取れないという致命的なデメリットを生む。
特に若年での住宅ローンは、
人生の選択肢を狭める「鎖」となるリスクがある。
安心を取るか?自由を取るか?
その選択に、正解はない。
「家を買う」という行為は“生き方”の表明である。
次章では「賃貸」というもう一つの哲学、
“身軽な自由”という名の“不安”を考えていく。

第3章:賃貸のメリットとデメリットを哲学する
仕事で疲れ切った夜。
「もう仕事辞めようかな...」
そう思ったことはないだろうか?
安い給料、通勤時間、理不尽な上司...
環境を変えたいと思ったとき、
賃貸なら気軽に“人生の再起動”ができる。
賃貸のメリット・デメリットを“哲学的に”考えることで、表面的な損得を超えた生き方のヒントを掴める。
本章では賃貸がもたらすメリットを深掘りし、
デメリットをどう乗り越えるかを一緒に考えていこう。

◾️賃貸が提供する最強のメリットの価値
賃貸の最大のメリットは、
なんといっても“自由に動ける”ことだ。
仕事で転勤が決まっても、引っ越せば完結。
-
職場環境が悪化した
-
近隣住民との人間関係に疲れた
-
家族構成が変化した
いろいろな人生の変化に合わせて、
住む場所を柔軟に選び直す事ができる。
持ち家を所有していなければ、
台風や地震といった自然災害のリスクも減る。
- ローン返済の義務
- 修繕費や固定資産税
- 資産価値が減少していく
こんな維持の煩わしさもない。

持ち家であればこれらの問題は、
「人生の重荷」として何十年も引きずることになる。
しかし賃貸は、
契約を解除し「逃げる権利」を常に保持している。
心理学では「回避能力(選択肢を持つ)」は、
ストレス耐性を高める重要な要素だとされる。
賃貸の“身軽さ”は物理的な自由だけでなく、
心の柔軟性を保つための防波堤にもなる。

◾️「掛け捨て」の印象を覆す哲学思考
賃貸派の最大の心理的な苦痛は、
「家賃を払っても何も残らない=掛け捨て」という認識にある。
「持ち家は資産」という幻想を抱かせ、
「賃貸は浪費」という「日本のマイホーム信仰」が生み出した認知の歪みだ。
しかし冷静に考えてほしい。
持ち家を買う初期費用(仲介手数料など)や、
- ローンの利息
- 固定資産税
- 修繕積立金
結局持ち家でも「手元から消えるお金」はある。
賃貸の家賃を「掛け捨て」と呼ぶなら、
持ち家は「住居維持・ローンの利息の掛け捨て」と言える。
これが、ナマケ者の哲学思考である。

◾️賃貸は自分の空間をデザインできない
僕には設備関係の仕事をしている友人がいる。
彼は中古の住宅を購入し、
自分が好きなようにデザインして楽しんでいる。
- 倉庫を自作する
- ウッドデッキを自作する
- 囲いを自分の好きにデザインする
これは賃貸ではなかなか許されない。
- 家具の跡
- 画鋲の穴
- 畳や壁紙の変色
などの普段の生活での劣化は、
基本的に大家が修繕する事になっている。

だが経年劣化と認められないものは、
賃貸退去時に住居の破損の修繕義務が賃借人に生じる。
自分で好きに空間をデザインしたい人は、
賃貸契約は大きなデメリットになるだろう。
そして最初に伝えたが、
不動産業者は客の利益は考えていない。
不要な鍵交換費用・防虫剤散布費用・不当な仲介手数料・ガイドラインに準じない修繕費用...
様々な"ボッタクリトラブル"が発生している。
持ち家より不動産業者との関わりが増え、
”ボッタクリリスク”は自然と上がる。

◾️老後の不安:「住居弱者」になるリスク
賃貸にも確かな“デメリット”がある。
大家の都合で退去を求められることがある。
高齢になると保証人の確保や収入の減少で、
賃貸契約を断られる「住居弱者」になるリスクが高まる。
- 入居者が孤独死した場合のリスク
- 家賃の滞納リスク
大家はリスクを避けるため、高齢者には冷淡だ。
「老後も一生家賃を払い続け、住居を探し続けなければならない」
この不安こそが、 社会人を持ち家へ駆り立てる最大のネガティブ要素である。

◾️持ち家から賃貸に移る高齢者
ここで、発想を少し変えてみよう。
持ち家も、老後リスクはある。
35年のローン返済後も修繕費用はかかり続ける。
その費用が捻出できず、
床も屋根も穴が空きっぱなしの家を僕は数戸見た。
「住宅ローンは返済したが、家の維持費で生活が苦しい」
という老後破産や賃貸に引っ越す事例も珍しくない。

「賃貸=老後不安」はある意味正しいが、
「持ち家=老後安心」は幻想である。
どちらの選択にも不安は付きまとうのだ。
だが現代は少子高齢化社会だ。
賃貸契約者もどんどん高齢化していく。
という事は高齢者を断る賃貸は、
今後生き残れなくなっていくはず。
「賃貸=老後不安」というデメリットは、
すでに解消されていっている可能性は高い。

◾️持ち家と賃貸の差額を投資する
導入で伝えたとおり、
僕はローンで持ち家を買うのは反対派だ。
一括購入できるのなら問題ないが。
だが若いうちに家を持ちたい感情も分かる。
そんな人はここの話は参考程度に聞いてほしい。
持ち家に使うはずだったキャッシュを、
毎月5万円を35年間積み立て投資(年利5%)で運用すれば、約5500万円になる。
(投資額:2100万円・投資収益:約3400万円)
金融庁がシミュレーターを解放してくれているので自分の状況を確認してほしい。

賃貸生活で身軽さを維持しつつ、
堅実に未来の資産を築く。
「住居コストの投資化」こそが、
賃貸の「掛け捨て問題」を打ち破る、経済合理性に基づいた哲学である。
とは言ったが、
投資はしっかり理解してから手を出してほしい。
最低でもこの問いに迷いなく答えられるようになってから。
興味があるならYouTubeチャンネル「リベラルアーツ大学」で学ぶ事をおすすめする。

◾️まとめ:メリット・デメリットは表裏一体
賃貸のメリットは、
“圧倒的な自由”と“逃げる権利”だ。
変化を受け入れ環境を変えることは、
ストレス軽減につながる。
一方でデメリットは、
老後の不安と掛け捨て感という現実的な問題。
だがその不安は持ち家予算を投資に回すという経済合理性の哲学を持つことで解消できる。
ここまでどちらかの肩を持たないように、
哲学思考で「持ち家VS賃貸」問題を見てきた。

僕個人の主観では、
経済的なメリットで言えば賃貸に分があるように思う。
でも何を重視するかは、あなた次第。
感情でも理性でも好きに選べばいい。
ただしっかり理解しておいてほしい。
どんな事でもメリット・デメリットは表裏一体である。
それを理解し自分で選び取りながら生きる。
それが“主体的な社会人の姿"だろう。
次章では、持ち家と賃貸、
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、
失敗しない住居選びの「自己責任の哲学」を提示していく。

第4章:失敗しない住居選び:感情と理性・自己責任という哲学
- 持ち家は「定住の安心」
- 賃貸は「身軽さの自由」
どちらにも一生モノのメリットと、
人生を縛るデメリットが潜んでいることが分かった。
「持ち家VS賃貸」
この問いに、どう決着をつけるべきか?
それは「人生のステージ」と「大切にする価値観」という、 個人的なものに依存する。
生き方が変われば、
最適な住まいの形も変わるのである。
本章では、後悔しない住居選びという、
ナマケ者流の「自己責任の哲学」を提示する。

◾️人生のステージで変わる「住居の最適解」
「持ち家は一度買ったら一生安心」
多くの社会人はこの思い込みに囚われている。
だが人生は常に変化する。
結婚・出産・転職・親の介護など、
住居の「最適解」は、フェーズごとに移り変わる動的なものだ。
● 独身・キャリア形成期:
賃貸で「身軽さ」を最大化し、
持ち家予算を投資に回すことが経済的合理性が高い。
多少狭くても駅近で、
趣味や交友関係を広げやすい賃貸が心地いい。
● 子育て期:
持ち家などの広めの住居で安心を選び、
“教育環境”や“近隣の治安”が重要になる。
地域コミュニティに根を張ることに価値を見出す人も多い。
しかし、子どもの成長に合わせて住み替える賃貸の柔軟性も捨てがたい。
● 老後:
ローンを払い終えた持ち家に、
バリアフリーや修繕のお金を使って住み続けるか?
広すぎる持ち家を売却し賃貸に移り、
住居維持の煩わしさから解放されて家賃を払うか?
- 「一度買ったら終わり」
- 「一度借りたらそこに縛られる」
そんな思い込みが、人生の可能性を狭めてしまう。
人は「変化」を嫌う生き物だが、
人生の大きな選択では、変化を恐れず最適解を柔軟に探し続ける姿勢こそが重要になる。

◾️住居選びで重視すべき「3つの価値観」の整理
ナマケ者流・住居選択の、
“3つの価値観診断軸”を紹介する。
あなたの人生において、
最も重きを置く価値観はどれだろうか?
1. 経済合理性(マネーの価値)
- 賃貸派:「持ち家資金を投資に回す」キャッシュフローの最大化重視
- 持ち家派:「資産形成」「家賃を払うのはもったいない」損失回避の心理を重視
2. 流動性(自由 vs 安定)
- 賃貸派:「気軽に引っ越す」「嫌な環境をすぐ変えられる」身軽さ重視
- 持ち家派:「定住」「地域コミュニティ」「自分の城」揺るがない安心重視
3. コミュニティ性
- 賃貸派:「人付き合いを求めない」「維持管理をしたくない」煩わしさの解放重視
- 持ち家派:「近所との深い付き合い」「地域貢献」「子育ての安心感」つながり重視
生きる意味が毎晩変わるように、
持ち家か賃貸かという答えも状況によって変わる。
ただ今の自分が「どの価値観を優先したいのか」を言語化しておくことは大切だ。
人生で大切なのはお金だけではない。
自分が何を大切に生きたいのか自覚できる人が、
後悔しない住居選びをする事ができる。

◾️住居選びは「自己責任」の哲学である
フランスの哲学者サルトルは言った。
「実存は本質に先立つ」
人は生まれた時点では“意味”を持たず、
「選択の積み重ね」により自分という存在を形づくっていく。
この考えを住居に当てはめると、
「持ち家も賃貸も、生き方を形作る選択」ということになる。
- 不動産屋の甘い言葉
- SNSの極論
- 親や周囲の期待...
これらは選択を奪おうとする「外部の圧力」である。
ナマケ者の言葉だけ聞いておけばいい。

誰の言葉を聞いてどんな選択をしても、
その結果の責任はすべて自分が負うしかない。
だから損得だけでなく“理性と感情”で考え、
どんな答えが出ても納得できる選択をしてほしい。
自分の人生を自分で決める「主体性」は、
社会人に最も必要な自己肯定感につながる。
自分の選択に責任を持つ。
これが他者の意見に流されず、
後悔のない人生を歩むための「自己責任の哲学」である。

◾️二律背反:選択を肯定する勇気
「安心もほしいし、自由もほしい」
これは人間にとって最も自然な感情だ。
僕だって欲しいものは全部ほしい。(進次郎)
でも欲しいもの全部を得ることはできない。
持ち家と賃貸の議論は「安定・自由の二律背反」であり、どちらかを選べば必ずもう一方を失う。
(二律背反とは:「僕は絶対に嘘をつく」この言葉が"嘘"だとすれば言葉的には正解だが、意味としては"本当"であるという矛盾した状況のこと)

この矛盾を解決する必要はない。
哲学者ルソーは言った。
「人は自由に生まれたが、至る所で不平等の鎖につながれている」
僕たちは、矛盾や不平等を抱えたまま生きる宿命なのだ。
大切なのは「選択を肯定する勇気」を持つことだ。
-
持ち家を選んだら「自由を失ったが、家族の安定を選んだ」矛盾を抱きしめる。
-
賃貸を選んだら「老後不安は残るが、身軽さという自由を選んだ」矛盾を抱きしめる。
自分の選択を肯定することで、
他者や外部環境のせいにする「他責思考」から卒業できる。
社会人にこそ「矛盾を抱きしめる強さ」が必要なのだ。

◾️まとめ:自己責任の哲学と動的判断
失敗しない住居選びの基準は、
- 「自分の人生のフェーズに合わせた動的判断」
- 「自己の価値観に基づいた自己責任の選択」
この2点に尽きる。
3つの価値観軸で優先順位をつけ、
「自分で選ぶ」主体性を取り戻そう。
住居選びに“完璧な正解”はないが、
“納得のいく選択”をする方法はある。
知識を持って自分の価値観で選んだ道は、
その人にとっての正解となる。
持ち家でも賃貸でも自分で選び取る。
これが後悔しない住居選びの哲学である。
次章では、持ち家・賃貸にかかわらず、
「1000万円以上を損しない」ために知っておくべき、
経済的な真実と行動計画を解説する。

第5章:持ち家・賃貸で1000万円以上を損しない行動経済学
「住居は人生の哲学である」
と語ってきたが、哲学だけでは現実の経済的な損失から身を守ることはできないのである。
「知らぬが仏」
なんて言うがこれは精神面の話。
持ち家・賃貸どちらも「知らない」だけで、
人生のキャッシュフローから1000万円以上が消えるリスクがある。
本章では、不動産取引の裏側にある、
- 人間の心理的な罠
- プロの「悪魔の言葉」から身を守る
そのための行動経済学的な知識を武器として提供する。
疲れたらちょっと休憩しながら、
ゆるく学んでいこう。

◾️損を避ける行動経済学を知ろう
僕たちは自分のことを、
「論理的で賢い人間だ」と思い込みたい。
しかし行動経済学が証明するように、
人間は感情や偏見で非合理的な判断をする生き物である。
不動産取引においては、
以下の2つのバイアスが損失を生む原因となる。

1. サンクコストの誤謬(埋没費用)
(サンクコストのごびゅう)
● 心理解説:
既に支払い済みの費用を「惜しい」と感じ、
本来なら止めるべき選択を継続してしまうこと。
パチンコに既に5万円使っているから、
辞める選択ができずに更にお金を注ぎ込むのもこの心理。
● 不動産での罠:
住宅ローンを組んだ瞬間、
「もう戻れない」というサンクコストが発生する。
「隣人がうるさいけど、ローンがあるから引っ越せない」
このような不満があっても、
売却や住み替えという合理的な判断ができなくなる。
後輩の仮面夫婦の例は「サンクコスト」が、
夫婦関係という最も大切なものから撤退する自由を奪った事例だ。

2. 現状維持バイアス
● 心理解説:
変化することを必要以上に恐れ、
現状を維持しようと固執すること。
僕の友人は「変えるのが不安」と言って、
10年以上同じスマホを使い続けている。
● 不動産での罠:
賃貸派:「引っ越しや契約が面倒だから」
という理由で、もっと安くて良い物件に引っ越さない。
持ち家派:「家の売却手続きが面倒」
という理由で、老朽化した家に住み続け修繕費がかさむ。
人間は得るより、失うことへの痛みを、遥かに大きく感じる。
(プロスペクト理論という)
だが損をしないためには、
感情を排除し、数字と計画で判断するという冷徹な姿勢が必要である。

◾️プロの誘導から身を守るテクニック
営業で最も心理テクニックを使うのが不動産業界だ。
不動産業者の目的は、
「あなたの幸せ」ではなく「契約」である。
彼らは心理的な弱点を巧みに突いてくる。
「知っていれば詐欺師の言葉だと分かる」が、
丸裸で挑むとケツの毛までむしられる。
以下によく使われるテクニックを解説する。
「これはプロのテクニックだ」
“プロだから信用していい”ではない。
プロだからこそ心理を突いてくる。
不動産の世界には、
「悪い人」か「すごく悪い人」しかいない。
このくらいの認識でちょうどいい。

◾️持ち家・賃貸「後悔しない」行動計画
感情とプロの誘導に負けないためには、
事前の計画とシミュレーションが必須だ。
ここで紹介する計画は、
あなたの選択(持ち家/賃貸)を正解にするための防御策である。

計画1:【持ち家派】「人生の想定外」シミュレーション
持ち家を買う前に必ず、
「ダブルインカムが崩れた場合のシミュレーション」を行うべきだ。
● 離婚リスク:
「後輩の例」のように、
離婚後ローンと生活費、養育費が払えるか?
オーバーローンになった場合の対応策を家族間で協議する。
(家を売ってもローンが残る状態)

● 病気・失業リスク:
住宅ローンの団体信用生命保険は、
基本的に死亡や高度障害には対応する。
だが「病気や失業による一時的な収入減」には対応しない。
半年分の生活費と、
ローン返済分を確保できているか?
購入予定の物件について、
購入前の「売却査定額」を必ず把握しておくこと。
離婚や病気などネガティブな事を考えたくないかもしれない。
でも未来なんて誰にもわからない。
「最悪のリスク」を想定する理性こそが、
持ち家という選択を揺るぎないものに変える。

計画2:【賃貸派】「家賃の差額」を投資に回す鉄則
賃貸の最大のデメリットは、
「掛け捨て感」と「老後の不安」だった。
これを解消するために、
「住居コストの投資化」を強制的に実行する。
● 目標設定:
- 「持ち家を買った場合のローン返済額」
- 「現在の賃貸の家賃」
その差額を必ず積立投資(新NISA)に回す。
※先にも伝えたが、投資はまずリベ大で学ぼう

● 目標額設定:
目標は各々の目的に合わせて設定すればいい。
- マイホームを一括で買える金額+a
- 子供の大学の費用
- 老後必要になりそうな金額
なんでもいいが、注意してほしいのは、
「賃貸は資産にならない」のデメリットを、
「資産形成の自由」というメリットに転換できる。
「どちらを選ぶか」だけでなく、
「どう備えるか」は本当に大切だ。
持ち家でも賃貸でも、
自分の選択に後悔しないようにしてほしい。

◾️まとめ:経済的防衛は知識武装と心理的脱却
住居の選択は"損得より納得"だと伝えたが、
できる事なら損はしたくないものである。
- サンクコストの誤謬
- アンカリング効果
といった人間の非合理性を理解し、
不動産業者の誘導からお金を守らなければ、
簡単に1000万円以上を損することになる。
損得は運ではなく“認知の整理”で決まる。
持ち家でも賃貸でも、
感情論ではなく数字と計画で未来を掴むこと。
知識は盾となり、冷静さは剣となる。
それが社会人がお金の不安から解放されるための、確かな戦術である。
次章(本文最終章)では、
これまで語ってきた哲学と経済の知識を統合し、
「自分の居場所」を選ぶための、
ナマケ者流の最終結論を提示する。

第6章:選択の矛盾を抱きしめ「居場所」を自分で決める
「持ち家と賃貸、どちらを選ぶべきか?」
そんな壮大な哲学の問いを、
メリット・デメリットから一緒に考えてきた。
きっとあなたの頭には、
1000万円以上を左右する哲学しか残っていないだろう。
「この記事に出会えてよかった」
なんて現時点で思ってくれていれば嬉しい。
本章は、この記事の最終目的地である。
社会人のあなたが損得ではなく納得で住居を選ぶ方法のナマケ者流の最終結論を提示しよう。

◾️"持ち家VS賃貸"問いに立ち向かう力
まず哲学の結論を伝えておく。
人生において、完璧な選択は存在しない。
持ち家・賃貸どちらにも、
それぞれメリット・デメリットがある。
ローンを返せば“モノが残る”のが持ち家の魅力。
一方で、転職や引っ越しの手軽さが賃貸の良さ。
どちらを選んでも、後悔の種は必ず残る。
「この選択は正しかったのか?」
そう思い続けるのが人間だから。

それが他責思考の入り口であり、
自分の人生から主体性を放棄する瞬間だ。
だから僕は「正しさ」ではなく、
「心地良さ」での選択を勧めたい。
“心地良い”とは、自分の価値観に正直であること。
「ローンが怖い」と思うなら賃貸でいいし、
「自分の城が欲しい」と感じるなら持ち家でいい。
自分の矛盾も選択も行動も...
全部ひっくるめて愛してしまおう。
それが社会人に伝えるナマケ者流・生き方の覚悟であり、自責の哲学の真髄である。

◾️「場所」より「関係性」が安心感を生む
家という「場所」に安心を求める人は多い。
でも本当の安心は人との関係性から生まれる。
紹介した後輩は持ち家を手に入れたが、
夫婦関係が崩壊し家が「人生を縛る鎖」と化した。
このエピソードは僕たちに、
「場所」より「関係性」が大切だと教えてくれる。
「持ち家VS賃貸」なんて考えるより、
家族との絆を維持する手段を考えた方がいいかもしれない。
真のセーフティネットは資産ではなく、絆である。
どんなに立派な家でも、
つながりが無くては孤独になる。
“損得”よりも自分と大切な人の“納得”を選ぶことが、幸福の土台になるはずだ。

◾️「買わない・借りない理由」を10個書く
もしも選択に迷ったら、
“思考”を整理する時間を取ろう。
多くの人はメリットばかりに目が行く。
でも僕のおすすめは、
自分にとってのデメリットを考えること。
デメリットを書き出してみると、
“自分が何を恐れているのか”が見えてくる。
その恐れを受け入れたうえで選ぶなら、後悔は減る。
それだけで、選択の質は驚くほど上がる。
視点を変える考え方こそが哲学思考の本領である。

◾️メリット・デメリットを理解し選択を
最終的な結論は、導入で提示した通りだ。
メリット・デメリットを理解した上で、
感情と理性を整理して、自分が生きたい人生に合った選択をするべき。
- 「どんな人生を歩みたいか?」
- 「何を犠牲にして、何を得たいか?」
つまり「あなたの生き方の表明」である。
自由と投資を優先するなら、
賃貸という哲学を選び、流動性を資産に変える。
安定と定住を優先するなら、
持ち家という哲学を選び、関係性の基盤を築く。
どちらを選んでも第5章で学んだ知識が、
あなたの選択を後悔のない正解に変えてくれる。
疲れたときこそ、立ち止まって考えてみてほしい。
あなたの人生の“居場所”は、あなたが決めていい。

◾️まとめ:持ち家・賃貸|自分だけの選択
完璧な選択は存在しない。
けれど知識を学び、感情と理性を整理して下した判断は、その人にとっての「正解」になる。
「損得勘定」で選ぶよりも、
「自分の心に正直に選ぶ」方が長い人生では強い。
持ち家でも、賃貸でも。
“自分のペース”で生きられる場所が、
あなたがいるべきあなただけの居場所だ。
...結局どっちを選びたい?

あとがき:持ち家VS賃貸という人生を左右する問い
長文を読み進めていただき、本当にありがとう。
社会人として働いて疲れているのに、
人生最大の問いと向き合うあなたは、本当に強い人だ。
「持ち家か賃貸か」という問いは、
あなたに重圧を与えてきたかもしれない。
だがこの記事を読み終えた今、
「自分で人生を決める力」に変わったはず。
僕たちは、“完璧な答え”を求めすぎるあまり、
「生きやすい選択」を見失いがちだ。
SNSの極論や不動産屋の言葉に左右されないでほしい。
あなたの感情と理性が導き出した答えを、
自信を持って選び取ろう。
あなたの人生の「居場所」は、
あなたが自分で決めるのだ。
「環境が人生を左右する。
僕はあなたの答えを出してあげられない。
ちなみに僕の居場所は、持ち家・賃貸なんかじゃなくベッドの上だよ」
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