ゆる哲学の布教者 ナマケ者のスロー日記

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【日常エッセイ】コンビニで出会ったおじさんと、タバコと、ちょっとした優しさの話

 

1日1ターン

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こんにちは、ナマケ者です。

今日は、現場仕事をしていた頃の話。

 

ちょっとだけ不思議で、

ちょっとだけあたたかい夏の日の話をしようと思う。

 

目次


 

第1章:あの日の昼休みコンビニの喫煙所にて

 

炎天下の中、現場仕事をしていた頃。

 

午前の作業を終えて、ようやく昼休憩。

僕はコンビニに弁当を買いに行った。

 

冷房の効いた店内。

 

少し汗を引かせ、

お弁当とお茶を手に取り、会計を済ませる。

 

「ちょっと一服していくか」

と、コンビニの喫煙所へ。

 

ひとり、タバコに火をつけて深く息を吐く。

ふわっと少しだけ、心も緩んでいく。

 

そこにふらりと、

ひとりの男性が近づいてきた。

 

年の頃は45〜50歳くらい。

服装は少し汚れていて、生活の匂いがにじんでいる。

「あ、タバコを吸いに来たのかな?」

と思い少しスペースを空ける僕。

 

すると、その人はこう言った。

 

「タバコを1本、分けてくれませんか?」

 


 

第2章:見知らぬ人との小さな関係

 

「いいですよ」

僕は自分のタバコとライターを差し出した。

 

特に深い意味はなかった。

ただ、そのときの流れのままに。

 

知らないおじさんと並んでタバコを吸う。

 

きっと遠目には、

僕たちは知り合い同士に見えただろう。

 

でも実際には、

さっき出会ったばかりの赤の他人

 

おじさんは僕に話しかけてきた。

「お仕事中ですか?」

僕が着ていた作業着を見てのことだろう。

 

「少し間を持たせようとしたのかもしれないな」

そう思いながら、僕も少し話に乗ってみた。

 

するとおじさんは、

少しずつ打ち明けるように話し始めた。

「財布を落として、もう3日何も食べてないんです。

ご飯を買えるくらいのお金、分けてくれませんか?」

 


 

第3章:それは嘘だったのか?真実だったのか?

 

正直こういう話を聞くと、

「たかっているのでは?」

と疑う人も多いと思う。

 

実際、僕の同僚もそう言っていた

 

でもそのときおじさんが言った言葉。

それが、僕の心に引っかかった。

「お腹が空きすぎて、寝つけないんです」

 

これ、僕にも経験がある

 

どこまで“食べずに生きられるか”

昔これを試してみたことがあった。

 

ちょっと変な実験だった。

(僕は頭がどうかしているのかもしれない。)

そのときの僕も、まさに“寝つけなかった”。

 

おじさんを信用した僕はこう返した。

「大丈夫ですよ。

でも、現金は持ってないんです。

バーコード決済はできるんで、コンビニでいいですか?」

 


 

第4章:子どものようなおじさん

 

おじさんは、

「ありがとうございます、お願いします」

と頭を下げた。

 

タバコを吸い終えると、僕たちはコンビニ店内へ。

 

おじさんは、

カップ麺がいい」

と言って、ひとつ手に取った。

 

僕は思わず笑い言った。

「それだけじゃ足りないでしょ?他にもどうぞ」

 

するとおじさんは、

  • 「じゃあ飲み物も……」
  • 「お弁当もいいですか?」

と増えていく。

最終的に、彼の両手は食べ物でいっぱいになった

 

まるで、

おもちゃをねだる子どものようだった。

 

レジに向かう。

 

するとおじさんは、

申し訳なさそうに、でもどこか当然のように言った。

「あの……タバコも、いいですか?」

 

「大丈夫ですよ(笑)」

と笑いながら答え、会計を終えた。

 

合計金額は、確か3000円ちょっと。

 

それでも僕の中に、

  • 「損した」
  • 「騙された」

という感情はなかった。

 


 

第5章:おじさんの最後の顔

 

「ありがとうございました」

「助かりました」

そう何度も言いながら、おじさんは深く頭を下げた。

 

「今日がこの現場最後なんで、

もう会うことはないと思います。

元気に過ごしてください」

そう僕は伝えた。

 

その瞬間おじさんがふと、

少し寂しそうな表情を浮かべた気がした。

 

気がしただけかもしれない

 

もしかすると、

「また困ったときにはこの人にご飯を買ってもらおう」

と思っていたおじさんは、

「もう会えない」

と聞かされて、ちょっと落胆したのかもしれない。

 

そうじゃないかもしれない。

それはもう、おじさんのみぞ知る


 

第6章:優しさって、なんだろう?

 

車に戻ると同僚たちに、

「なんでそんな時間かかったんだよ」

「それ詐欺だろ」

といじられた。

 

でも僕の中では、どこかスッキリしていた。

 

僕がしたことは、

  • 本当に優しさだったのか?
  • ただの自己満足だったのか?

 

…たぶん、両方だったんだと思う。

 

それでいい

 

僕は僕なりに、

「困っている人に優しくしたい」

という気持ちで動いた。

 

その気持ちにウソはない。


 

第7章:小さな行動が 小さな希望になるかもしれない

 

生きていれば、いろんな人に出会う。

 

ときには、

困っている人に出会うこともある。

 

そのときは、

自分ができる範囲で、何か優しさを渡せたらいいな

そう僕は思う。

 

たとえそれが、

ほんの一瞬で消えてしまうような優しさでも。

 

目の前の誰かの“今”を支える、

小さな支えになるかもしれない。

 

そしてその行動が、

のちのち自分の心のどこかで、

小さな火のように灯り続けることだってある。

 


 

あとがき:

 

困っている人に、やさしく

誰かの人生を変えるほどのことではなくても手を差し伸べる。

 

そうすると、

自分の一日が少しマシになるかもしれない。

 

そしてそれは、

けっこう尊いことなんじゃないか?

 

そう、僕は思ってる。

 

僕は別に、聖人なわけではない。

 

でも、これからもきっと、

困っている人に手を差し伸べていく。


 

ナマケ者のスロー日記より

「今日は、ちょっとだけ、誰かに優しくしてみようかな」

って思えたら、それでいい。

 

ーナマケ者今日のひとことー

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